採用 自己紹介

採用において「会社の魅力」をどう整理するか

この記事は「採用で内定者を増やすために必要なこと、の概論」に記載されている「事前準備 ー 自社の魅力整理 ー 自社の魅力を整理(企業の魅力をつくる「4P」を利用し、全体&職種毎にまとめる)」についての詳細を記載したものです。

つまり、「どう自社の魅力を整理していくか」という内容を記載しております。ここで整理した要素を参考にしながら、具体的に会社の魅力を書き出していきます。それらを活用し、会社資料に落とすことが中間ゴールとなります。

候補者(ターゲット)が内定を承諾するために必要な5つの要素

候補者(ターゲット)が内定を承諾するために必要な5つの要素

会社の魅力について、何を訴求したらよいか、を具体的に考える前に、ターゲットとなる候補者が何を望んでいるか、何に惹かれるか、から考えるとよいと思います。

経験交え、候補者が内定を承諾するためには5つの重要な要素があると思っているので、まずはそれを紹介します。

候補者が内定を承諾するために必要な5つの要素

・転職先に求めているコトが実現出来るか
・活躍のイメージがつくか、今のスキルが通じるか
 └年齢が高い人、またはエンジニアで特に重要視される
・安心して働けるか(大きな不安要素がないか)
 └家庭を持つ場合、パートナーの不安が払拭されているかは重要
・会社(ミッション、事業)がワクワクするか、好きになれるか
・社員(代表、メンバー)と一緒に働きたいと思えるか

以下に、1つずつ補足をしながら見ていきたいと思います。

「転職先に求めているコトが実現出来るか」

求めているものは人によって様々です。ですが、自社がほしい人はどういう人か、を考えるといろいろイメージが出てくると思います。

代表的なものとしては、 社会に貢献したい、流行のサブスク事業で働きたい、テックに注力している事業に関わりたい(企業で働きたい)、急拡大している環境で仕事したい、○○のスキルアップをしたい、待遇(ポジションチャンス、収入などの条件)を改善したい、などがあります。たまにいる、私個人として好きなものとしては、カオス環境で働きたい、というものもあります。

「活躍のイメージがつくか、今のスキルが通じるか」

これは年齢が高い人、またはエンジニア特に重要視される傾向にある項目ですが、もちろんそれ以外の人も重要視する項目です。

活躍のイメージがつかないと、給与ダウンしてしまうかも、楽しく働けないかも、と思ってしまいますし、逆に活躍のイメージがつく場合、もっと上のポジションにいけるかも、もっと給与アップするかも、辛い思いをせず楽しく働けるかも、というイメージが持てる、というのが背景にあると思います。

「安心して働けるか(大きな不安要素がないか)」

特にスタートアップにくるような人なら、一定のリスクは覚悟しているでしょ、と考えると思いますが、今では良い環境、安心して働ける環境を提供するスタートアップは少なくありません。その企業たちと優秀な人を争って獲得するのであれば、安心する要素は一定ある方がいいです。

が、大型資金調達しているところに環境面などで勝つのは大変ですし、そもそも勝負する必要はありません(自社が大型調達していて、そういう呼び込みをしたいのであれば別ですが)。

この場合、大きく安心できる必要はなく、一定の安心感があればよい、つまりは大きな不安要素がなければよい、と思っています。

1つ注意しなければならないのは、候補者にパートナー(結婚相手、もしくは将来結婚する予定の相手)が居る場合、そのパートナーが転職についてどういう反応を示す人なのかはかなり重要です。子供がいる、持ち家を持ってローンを支払っている、などの環境にいる場合、安心感、安定感は相当に重要となります。

候補者の多くはこういう情報を企業側に正確に説明してくれないのもやっかいな要素としてありますので、十分な注意を払いましょう(最終的にパートナーの意見がかなり重要になるのに、転職は自分の意志でしてよいと言われている、パートナーの意見は参考程度、と話す候補者は一定いる)。

「会社(ミッション、事業)がワクワクするか、好きになれるか」

候補者が転職軸を左脳で整理し、企業はそれに合致する、となっても、右脳でワクワクする、楽しそう、好きになれそう、という感覚が持てないと、最終的に転職者がその会社を選ぶ可能性は低くなります。

「社員(代表、メンバー)と一緒に働きたいと思えるか」

前項と同様に、左脳でいい会社だ、となっても右脳側で厳しい、と判断すると結果は企業が望まないものとなります。またこの要素は一番の理由としている人も多くいますので、特に候補者と接触する人の選定は重要となります(もちろん会社にいる人たちとそのカルチャーも重要ですが)。

候補者に訴求する要素の検討

転職候補者に訴求する要素の検討

ここから、上記の内容を意識しながら、具体的に「自社の魅力」を考えていきます。整理するのに私が活用するのは、リンクアンドモチベーションさんが発信している「企業の魅力をつくる”4P”」(と王道の3Cをちょっと)です。

以下で説明していきますが、これは Notion に作ったものを見てもらう方がパッとイメージしやすいと思いますのでここにリンクを貼っておきます。

補足ですが、Notion や以下に書かれているところに「候補者」と同列されるかたちで「エージェント」と記載ある箇所があります。

エージェント(駆け出しのスタートアップの場合、最初は最も重要なチャネルの1つ)を活用する場合、候補者だけではなく、候補者を口説いてくれるエージェントも口説かなくてはならないので、ところどころその記載があるのですが、このページだけ読むとやや混乱するかもしれませんので、その点ご容赦いただければと思います(「エージェント」というワードを無視していただいてもかまいません)。

活用する「企業の魅力をつくる4P」を以下に記載します。

・Philosophy(理念・目的)
・Profession(事業・仕事)
・Peopler(風土・人材)
・Privilege(特権・待遇)

この4Pを活用して、どのような「要素」を考えるか、「補足」として何があるか、をみていきます。これらの要素を全て使う、というよりは、以下の内容を参考にしながら、強みになりそうなものを考え選ぶ、というアクションになります。

Philosophy(理念・目的)

【要素】
・会社のミッション
 └どんな世界を創るのか、どんな社会の負を解決するものなのか

【補足】
直感的にワクワク出来るモノが良い
 └左脳で整理し「そうだね」、だけだと候補者、エージェントに響かない可能性が高い
・新規性、ユニーク性、逆説要素、イノベーティブ要素があると訴求力UP

「Profession」は「事業」と「仕事」に分け、更に「事業」は3Cで分けて考えます。

Profession(事業 ー Company)

【要素】
・どんな社会課題を解決するものか(社会的意義があるか)
・どんなプロダクトか
 └価格は?サブスク?
・現状はどのフェーズまで来ているのか、今後どのくらいまで伸びるイメージが持てるか
 └安心感、期待感はどれほどか
・資金はあるか、調達しているか
 └期待されているのか、資金に困らずいろいろできそうか
・テクノロジーを活用しているか
 └先進的な、いまどきのプロダクト、企業か
・中長期戦略はあるか
 └ミッションとリンクしているか、今の市場でどうしていくか、周辺市場、または新規市場に行く予定はあるか、行くならばそこはどういう市場か
・メイン事業の組織形態はどのようなものか
 └昔のような組織形態ではないか

【補足】
・プロダクトの価値はできるだけシンプルに分かりやすく
 └知名度が低い企業の場合、エージェント、候補者との接触フェーズでは彼らはあまり理解をしない(理解しようと頑張らない)と思って訴求する必要があるため、頭にスッと入る内容が望ましい(関係値が高まってきた状態でもエージェントに深い理解が得られていないことは多い(自社は多くの魅力的な会社がある中の1つにすぎないので))
・中長期戦略はフワッとしていてもある方が良い
 └意外!?に他社では中期戦略がないことも多く、あると差別化要素になる
 └候補者は細かいところまでは分からないので、話せるだけでもプラスになる
 └新規市場ばかり狙っていると思われると危うい印象を与えるので注意

Profession(事業 ー Customer)

【要素】
・今の市場をどう捉えているか
・今後どうなるか、どんなチャンスがあるのか
・どんな顧客を相手にしているか
・顧客のどんな課題を解決しているか

【補足】
・トレンドに乗っている感があると良い
 └with, after コロナに対応しているか、5Gの波に乗るか、等、

Profession(事業 ー Competitor)

【要素】
・競合はいるか
・いる場合、優位性要素を持っているか、どういうポジショニングか

※これを伝えることで競合分析をちゃんとしている、という安心感を与えられる

Profession(仕事)

【要素】
・何が経験出来るのか
 └例:セールスであれば、大手企業、上位層とのやりとりが経験出来る、等
・どんなスキルが身につくか
 └例:自身の専門性が高まる、等

「People」も「風土」と「人材」に分けてみていきます。

People(風土)

【要素】
・どんな雰囲気の職場か、浸透しているカルチャーはあるか
 └裁量があるか、チーム連携はし易いか
 └働き方のスタンスは?(リモート比率は?残業時間は?)
・どういう組織形態か、どの職種がどのくらいいるか
 └テックに注力している企業か
・人事評価制度はあるか、真面目に取り組んでいるか
 └社員のことを考えているか
 └公平な評価制度があるか

【補足】
働き方としては、ブラック企業ではない、安心安全な会社、ということは訴求しておく
 └特に大企業からの転職者に有効
組織を一から構築出来るか、自分たちで好きな環境を作れるか、も一定のニーズがある
 └カオスな環境を好む人材は一定いる
現職の人事評価制度に不満がある人は一定いる
 └不満があり、昇給しない、から辞める、等

People(人材)

【要素】
・代表、主要メンバーは魅力的か
 └優秀な人が会社を引っ張っているか
・チームメンバー(同僚)は魅力的か、連携出来そうか
 └自分と同レイヤーではどういう人がいるか、どんなバックグラウンドの仲間がいるのか、自分も入り込めるか

【補足】
・優秀な人がいて、会社も自分も成長していくイメージを与えることが重要
・左脳が強いイメージの代表は、イメージ的にちょっと硬い、冷たい印象を与えることもあるので、それを逆にふり、ギャップ狙うのも効果的
 └特に右脳タイプに効果的
 └左脳人間のイメージのままであれば、口説くことは難しい
・同僚にどういう人が活躍しているのか、が分かると、自分も活躍できるかのイメージがつき安心出来る
・チームで連携して働きたい、という要望は多い

Privilege(待遇・特権)

【要素】
・給与水準はどの程度か
 └上はどのくらいの年収なのか
・上位ポジションは空いているか
 └マネージャ、執行役員、取締役になれる可能性はあるか
・SOは付与されるか
 └上場はどのくらい実現的か
・福利厚生は揃っているか
・スタートアップらしい制度はあるか

【補足】
・SOはかなりレイヤーの高い人にしか刺さらないし、他も同様の訴求はしているので、あればする、程度
 └割合が高ければ武器になる

上記に出した例は代表的なものなので、大きく外すことはないと思います。が、自社独自の視点で思いつくことがあれば、積極的に取り入れていくべきです。

このテーマについての内容、ここまでとなります。

ここまでまとめたものは、この後に「採用で内定承諾者を増やすために必要なこと、の概論」の記事で出てくる、「ターゲットへの訴求内容整理」のところでできるターゲットイメージを活用し、「全職種共通して訴求すること」、「職種ゴトに訴求すること」、の内容をそれぞれ固めていくことになります。アウトプットのイメージとしては以下の図のようなものになります。

転職候補者に訴求する内容整理

「共通して訴求すること」に書く内容は、会社紹介資料に落としていくことになります。

会社紹介資料のスライド構成案

転職候補者向けの会社紹介資料

会社紹介資料は、自分が説明しやすい候補者が強い興味をもちやすい、且つ、説明を理解させやすいような、スライドの流れになると良いと思いますので、これが正解、というものはないのですが、ざっとこんな構成なら問題はないのではないか、というものを記載しておきます。

1.特に推したい特徴を訴求
 └相手の意識を掴む、今後の説明を聞かせるためのもの
2.会社サマリ
3.理念、目的軸の訴求
4.事業軸の訴求
5.風土軸の訴求
6.人材軸の訴求
7.待遇・特権軸の訴求

重要なのは、最初のスライドで、相手の意識をしっかり「掴む」ことですそれにより、この後の説明を聞いてもらいやすくします。

「仕事軸」は職種毎に訴求するため、会社紹介スライドでは割愛し、面接・面談で口頭で訴求していくか、別で用意する方が良い(楽だ)と思います。また、悪い情報もしっかり出すことにより、情報を全てオープンにしているという印象を与え、信頼UPに繋がりますので、一定は発信するのが良いと思います。

【おまけ】私自身の経験について

自分自身の採用経験

そもそも、この記事を書いている人はどういう経験をしているのか、が気になる方もいると思うので、ざっと自分の採用における経験を記載したいと思います。全然ダメな人の記事を参考にしても意味は無い、と思われる方もいると思いますので。

スタートアップ2社で、数百人と面接・面談をしており(千はいっていないと思う)、数十社のエージェントさんとのやりとりや、媒体(ビズリーチなどのダイレクトリークルーティング等含む)もいくつも運用してきました。大企業では、面接経験しかありませんが。。。

これまでまとめた、そしてこれからまとめる考えを使って、結果としては、誰もが知るキラキラ系の有名スタートアップやメガベンチャーと争いながら、人材を獲得してきました。採用には相当拘っていたので、獲得してきた人は、企業のエース級ばかりでした。

気に入った候補者が面談から面接までのってもらう確率は90%以上、その人達の中で、内定を出した人が内定を承諾する確率は70%程度、という感じです。ので、面談や面接でお会いし、気に入った人の6割くらいは入社してもらえた、ということになります。

が、選考基準がかなり高かったので、なかなか内定を出すことが出来ず苦労もしていました。。。

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