前置き
始めにお伝えしておくと、この記事では「積み上がってしまう数値計画にはご注意を、と注意喚起!?はするものの、それに対しての明確な答えはまだなく、ヒントになりそうなことしか書いていない」ということをお許しください。
積み上がってしまう数値計画
スタートアップの経営層、そこに近いところに関わっている人たち、もしくは新規事業で責任あるポジションにいる人たちであれば、参考にするデータがあまりない状態で、ゼロから数値計画を作る、という経験をしたことがあると思います。もしくは、そのような数値計画をよく見てきた、ということもあるのではないでしょうか。
そこで作られてくる数値計画の多くは、綺麗にホッケースティック型の線で、最初はもちろんマイナスなのですが、数年後には単黒、さらにその数年後には累積損失を一掃、そしてその先には素敵な未来が待っている、というものになっているのではないでしょうか。
私自身もそのようなものをよく作ってきましたし、他の人が作ったものもよくみてきましたが、実際にはホッケースティック型の計画通りにはいかない、というものでした(大きな目でみれば、なんとなくホッケースティック型かも、というのはありましたが)。
エクセル、スプレッドシートなどで作られた数値計画のデータは、製品導入済の顧客数や顧客単価などの数字をちょっといじると、数年後の数値は大きく変わり、ときには、数値上では厳しそうだった事業が、一瞬にして良い事業に変わってしまったりもします(そして両方ともなんとなく納得感はある数値に思えたりもするのです)。
さらに、将来の市場はどのくらいになっていて、その時にはシェアがこのくらいだから、この程度だったら大丈夫だろう、となると、いよいよこの数値計画はいけそうだ、と思えてしまうのです。
このように計画数値をつくるときには、エクセル、スプレッドシートなどである部分の数字をちょっといじるだけでも、数字が大きく積み上がってしまうのです。本当は事業を伸ばすのは難しいのに、この事業は成功する、という数値計画は割と簡単にできてしまう、という怖さがあると思っています。
解決に向けた”ヒント”
では、どうするとこれについて対策ができるかについては、「キャズム理論」について書籍に、それについてのヒントがあったので、備忘も含めここで紹介したいと思います。
書籍では、実際には数値計画はホッケースティック型の線で積み上がっていくのではなく、「階段状のラインで伸びていくことが多い」と紹介されています。これは「初めは初期市場の成長に伴って、売上が急激に伸びるが、その後、売上の伸びがぱったりとやみ(キャズムにハマっている段階)、そしてキャズムを越えたあとに、メインストリーム市場の成長に伴って再び急拡大する。」という理由からです。
ざっと用語についてご説明しますと、テック製品が市場に受け入れられる時には、最初に「初期市場」と「メインストリーム市場」があり、その間に「キャズム」と呼ばれる大きな谷があります。
「初期市場」にいる人たちはテック製品が好きで、自分たちの(先進的な)ビジョンが叶えられそうな製品であれば、少々足りないところがあっても、不足分を自分たちで補い、製品を採用する、というリスクを冒してでもチャレンジすることが好きな人たちです。
逆に「メインストリーム市場」にいる人たちは、新しいことをしたいわけではなく、業界のリーダー製品であり、必要な機能が全て揃っている(ホールプロダクト)、を買いたがり、リスクを取る、とはほど遠い、という人たちとなります。
つまり、上記のようなフェーズの違いを認識せずに、ずっと同じか、途中でペースアップするようなかたち、製品導入する顧客数や、顧客単価をどんどんと安易に増やしていく、という計画数値は作ってはいけないのです。
フェーズ毎に、ターゲットセグメント(顧客)を定義し、どう販売していくかをしっかりイメージし、キャズム(その他にもクラックというものもありますが、ここでは割愛)でどのくらいお金、時間を使うか、をイメージして計画数値をつくっていく必要があるのです。
これは、自分の経験とも合致します。新しいものを見つけ、成長しはじめると、「このままいける」、と(すごく嬉しく)思うときがあるのですが、調子の良い時期は一定期間で止まり、その後数値が伸び悩むのです。
当時はこれがなんで起こるのか、分からなかったのですが、この理論と出会って、なるほど!、という感じになりました。
「キャズム理論」について興味をお持ちになった方へ
キャズム理論について少し興味をお持ちになられた方は、今後当ブログで紹介していきますので、少々おまちいただければと思います。
早く知りたい、という方は以下のリンク先に一部ありますので、参考にしていただければと存じます。